研究概要 |
本研究では、独立行政法人、宇宙航空券旧開発機構が所有する世界最大の測定部を有する60cm磁力支持天秤装置を利用して、細長比変化に伴う円柱の抗力係数の変化を測定し、併せて、その変化と後流構造の変化の関係を明確にすることを目的とするものであった。細長比が4から8の間で円柱模型の抵抗係数を磁力支持天秤装置で詳細に測定した結果、直径を代表長にしたしイノルズ数で50,000〜100,000では円柱の抵抗係数にレイノルズ数依存性は無く、細長比4以上では、円柱前縁で剥離した流れは模型直径の1.5倍以上下流で再付着し、その下流の円柱表面で乱流境界層が発達し、後縁に達しており、細長比4以上の円柱抗力係数の細長比依存性は、細長比増大による円柱長さの増加に伴う円柱表面に発達した乱流境界層の摩擦抵抗増加が主な原因であることが判った。更に、細長比が1,4から4.0までの間で、抵抗係数に明瞭な極小値が観測され、その値を示す細長比はほぼ1.6から1.7の問にあった。極少値付近の抵抗係数は、既存のデータに示されているものよりも明らかに小さく、0.8以下であるが、阻塞効果の影響により現段階ではその値を特定できなかった。一方、無線技術を応用した背圧計測では、抵抗係数が極小値を取る辺りで極大値を取ることが判明し、変動計測では明瞭な変動ピークが観測を観測した。更に、PIV計測により、平均流派軸対称であっても、後流内の渦の瞬間分布は全く軸対称性を示していないことが支持干渉の無い状態で初めて確認され、模型支持方法が本研究対象の流れでは極めて大きな影響を及ぼすもので、支持干渉の無い磁力支持天秤装置と気流を乱さずに流れ場を測定できるPIV計測の特長を生かした試験の有効性を認識した。最後に、「気流に平行に磁力支持された円柱の抵抗係数」の論文には平成18年に日本風工学会から論文賞を授与されたことを記す。
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