研究概要 |
ノッキングに負の温度領域が影響を与えている可能性が,定容容器を使った実験であきらかになった.しかし定容容器では,燃料,非定常性,圧力,温度,乱れなどの条件が実機とは異なるので,実機の高速高負荷運転条件を模擬できる急速圧縮装置をあらたに設計製作したこの装置は九州大学で開発されたものをベースにしており,小型であること,圧縮行程の動きを変えられること,大きな振動を伴わない等の特徴を有する.この装置を使って,圧力,局所温度,可視化,排気ガス分析について計測を行うことができるようになった.このうち,局所ガス温度の測定はノッキングの発生に最も重要な因子と考えられ,壁面近くを含めて測定が可能な二線式熱電対を製作し,その精度の検証を行った.この結果,流れ場の方向,密度,流速などをパラメータとするものの2%程度の制度で瞬間ガス温度の計測が可能となった.一方,定容容器実験で得られたデータで,現有の反応を含む0次元数値解析モデルの検証を行った.本研究では独自の局所温度計測を行うことにより,現象の考察や定量的な比較の上で極めて有用な知見を得ることができた.特にノックが起きる場合と起きない場合の条件について,詳しく考察を行い,実験条件に依存するが,負の温度領域の影響は無視できないことが分かった.またノッキング回避のためには,最高温度を抑え,高温維持時間を短縮することが効果的であり,そのようなクランク機構が有効であることも明らかとなった.
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