研究概要 |
1.溶存ガスを管理した発熱体表面状態がラフ面、スムース面、ミラー面のSUS304薄肉円管試験発熱体を用いた強制対流サブクール沸騰限界熱流束実験 d=3mm、 L=66.5mm(L/d=22.17)のラフ面、スムース面、ミラー面のSUS304薄肉円管試験発熱体を用い、溶存酸素濃度が8.63ppmから0.0288ppmの範囲で沸騰熱伝達及び限界熱流束(CHF)を求め、沸騰熱伝達及びCHFに及ぼす溶存ガス濃度、表面アラサの影響を明らかにした。この実験範囲では、沸騰開始加熱度及び核沸騰熱伝達に及ぼす溶存酸素濃度、表面アラサの影響はほとんど観察されず、CHF実験結果は、発熱体出口及び入口条件に対するCHF表示式(1)、(2)から求まる値の±15%以内の誤差で記述された。CHF表示式から求まる値の2割程度の非常に低い値は計測されなかった。低溶存酸素濃度で高流速域において、q_<cr,sub>が減少する傾向を観察した。 Bo=0.082{d/(√<σ/g(ρ_l-ρ_g)>)}^<-0.1>We^<-0.3>(L/d)^<-0.1>Sc^<0.7>(1)、Bo=C_1{d/(√<σ/g(ρ_l-ρ_g)>)}^<-0.1> We^<-0.3>(L/d)^<-0.1>e^<-((L/d))/(C_2Re^<0.4>)>Sc^<_*C_3>(2) ここで、C_1=0.082,C_2=0.53 and C_3=0.7 for L/d【less than or equal】around 40、C_1=0.092,C_2=0.85 and C_3=0.9 for L/d>around 40。 2.溶存ガスを管理した銅材料円管発熱体を用いた強制対流サブクール沸騰限界熱流束実験 内径(d)=6mm、厚さ(t=0.5mm)、加熱長さ(L)=60mm、L/d=10のキュプロニッケル(Cu-Ni30%)チューブ発熱体を直接通電する方法で、出口圧力(P_<out>)=800kPa、流速(u)=4.0〜13.3m/s、出口サブクール度(ΔT_<sub,out>)=46〜119K、入口サブクール度(ΔT_<sub,in>)=68〜148Kの広範囲な実験条件でCHF(35ポイント)を求めた。この発熱体内面の表面アラサ(Ra)は、0.15μmであった。限界熱流束(q_<cr,sub>)と出口サブクール度(ΔT_<sub,out>)、入口サブクール度(ΔT_<sub,in>)の関係について流速(u)をパラメータとして表示すると、ΔT_<sub,out>【greater than or equal】30K、ΔT_<sub,in>【greater than or equal】40Kにおいて、q_<cr,sub>はΔT_<sub,out>、ΔT_<sub,in>の増加と共に増加し、高ΔT_<sub,out>、ΔT_<sub,in>領域においてその増加割合は減少する傾向を示す。ΔT_<sub,out>、ΔT_<sub,in>を固定した場合、uが増加すると共にq_<cr,sub>は増加する。SUS304薄肉円管試験発熱体で求めた実験結果に基づいて定めたCHF表示式(1)、(2)と比較すると、キュプロニッケル(Cu-Ni30%)の熱伝導率は、SUS304のものよりも2.1倍大きいにもかかわらず、ΔT_<sub,out>【greater than or equal】30K、ΔT_<sub,in>【greater than or equal】40Kにおいて、CHF表示式(1)、(2)は実験結果をほぼ±15%以内の誤差で記述する。CHF表示式(1)、(2)は、発熱体円管材料に影響しないと考える。
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