研究概要 |
本研究では,ディーゼル排気後処理法として,バリア放電技術と触媒技術を複合化して,排気ガス中のNOxと微粒子(PM)を高効率で無害化する単体の小型後処理技術を開発した.開発したシステムは,バリア放電部とPM分解処理部より構成される.高周波バリア放電装置では,電極構造を誘電体バリア配置として,低電圧,低電力のもとでプラズマ条件をつくる.プラズマ中では,空気が活性化されてオゾン(O_3),Oラジカル,Nラジカルが発生し,排気ガス中の一酸化窒素(NO)が二酸化窒素(NO_2)に転換する.PM分解処理部では,転換して生成したNO_2と酸化触媒により,300℃以下の低温で微粒子を酸化して除去する.主な結果は以下の通りである.まず,プラズマ反応装置の電極構造の検討を行い,NOのNO_2への転換に及ぼす放電特性およびガス温度,水分濃度,炭化水素成分などの雰囲気条件の影響について明らかにした.その結果,バリア放電電極の構造,バリア材質および誘電体厚さが放電消費電力とO_3生成に大きく影響し,これによりNO_2転換特性が変化するがわかった.さらに,反応管のエネルギー密度によってNO_2転換率が変化すること,導入ガスに炭化水素が含まれると,低い放電エネルギーで高いNO_2転換効率が得られ,ガス温度水分によるNO_2転換効率の悪化を抑えることができることも明らかになった.さらに,プラズマ反応によって形成されたNO_2によるすす酸化特性を調べ,酸化促進触媒および担持体について検討した.その結果,プラズマ反応によって生成したNO_2を含むガスにより,O_2の場合より約100℃低い260℃の低温ですすを燃焼させることができることを示した.また,鉄系酸化触媒が酸化促進に効果があること,および触媒担持体としてαアルミナ,χアルミナの効果も明らかにした.
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