研究概要 |
回転円柱やドラムを冷却する際,冷却性能を向上させるため外面にフィンを取り付けて伝熱面積拡大を図ろうとすることがある.その場合,フィンによる流体の攪拌効果により,熱伝達係数もフィンがない場合に比べ増加することが予想される.ところが,フィン付回転ドラムの伝熱特性に関する情報は意外にも皆無に等しい.本研究はこのような状況にかんがみ,高熱負荷フィン付回転ドラムの対流伝熱特性を実験的に明らかにするとともに,伝熱機構を明らかにすることを目的としたものである. 本研究では,(1)高熱負荷,高回転数条件に対するフィン付回転ドラムの伝熱特性を明らかにする熱伝達実験,(2)フィン付伝熱面に不可逆性感温塗料を塗布し,その変色結果から局所の伝熱特性を調べる感温塗料実験,を行った.外径326mmの鋼製ドラムに高さ15mmのフィン列を有するフィン付ドラムを供試体とし,回転体伝熱実験装置に取り付けて所定の回転数条件(最大2,400rpm)で実験を行った.フィン列は枚数,角度,厚さを変化させた.その結果,以下のことが明らかとなった. (1)フィン付回転ドラムの伝熱特性はフィンなし回転円柱に比べ伝熱が促進され,フィン角度が30°では最大3.5倍の熱伝達係数が得られる.熱伝達係数αとドラムの回転数Nの間にはα=k・N^<0.7>(kは定数)という比較的簡単な関係が成り立つものの,kはフィン配列によって非常に複雑に変化する (2)本系の熱伝達は(a)フィン間を通り抜ける流路流れの熱伝達と(b)フィン頂部を通過する空気流によって引き起こされるキャビティ流れ,さらに(c)高熱負荷に伴うフィンの高温条件により無視できなくなる遠心力による体積力対流,の3つの機構によって支配され,その寄与度の変化が複雑な伝熱特性を形成している. さらに,これらの結果に基づき,本系における熱伝達整理式を作成した.
|