研究概要 |
本年度得られた研究実績は以下のとおりである。なお、国内の学会において1件、イギリスでの国際会議で1件口頭発表を行い、大学内の理工学部研究紀要でも成果を公表した。また、刊行論文への投稿も準備中である。 1.昨年度改良が完成した、示差毛管上昇法を用いて高圧状態における表面張力を測定する実験装置を用いて、6種類のアルコール純物質(炭素数が2から7のアルコールであるエタノール、プロパノール、ブタノール,ペンタノール,ヘキサノール,ヘプタノール)の表面張力の測定を0℃から7℃の範囲で行なった。加えて、表面張力の算出に必要となる飽和液体密度の実測を、振動式密度計を用いて同じ温度範囲で行なった. 2.測定した6種類のアルコールに関して、温度依存性を表す相関式を作成した。従来アルコールに関するこれらの情報は、量的にも質的にも乏しいのが現状であり、新たに高精度の熱物性値情報を数式として提供することができたことは、国内の知的財産として非常に価値の高いものであると考えられる。 3.アルコール水溶液に関しては,1-ブタノール水溶液を測定の対象物として選定し,現時点までに0.5、1.0、1.5、2.0mass%1-ブタノール水溶液の表面張力および密度の温度依存性を実験的に解明した。当初の目的であった、高圧状態で表面張力の温度依存性に特異な挙動が現れるかどうかを解明することは、水溶液の水の比率が高いために、毛管内での濡れ性の影響が表れている可能性があり、今後の検討課題として残っている。
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