研究概要 |
脱線の可能性がより大きいと考えられる三軸ボギー車の走行安全性を低速曲線通過の条件で二軸ボギー車と比較した.その結果,急曲線になると三軸ボギー車で脱線に対する余裕度の減少が顕著となるが,走行安全性の改善に操舵機構が有効なことを示した. 次に,曲線の外軌レール継目部で発生する著大横圧に対し,基本速度を超えてある程度の速度までは,本研究で提案する機構のアクティブ操舵台車が有効なことを示した.また,制御の誤作動によりアクティブ操舵台車がアタック角を増大させた場合を想定して走行安全性を調べた結果,逆操舵になると脱線に対する余裕は減少するものの,脱線防止ガードの設置が推奨される推定脱線係数比を下まわるのは半径350m以下の曲線になることが予測された. ダイレクトドライブモータで駆動する独立回転車輪台車を,左右車輪間のトルク差により操舵制御する場合,前後の輪軸を同方向に操舵すれば台車全体の旋回が促進され,低速ほど操舵に使える駆動トルクに余裕が生ずるため,急曲線でも横圧低減効果の大きいことが示された. 次いで,車輪のフランジ乗り上がりを模擬するための解析モデルを構築した.模型一軸台車の実験で,アタック角の増加とフランジ接触側輪重の減少により,外力がなくても車輪の浮き上がりやフランジ乗り上がりが確認され,その傾向は数値解析でも同様に模擬された.また,実験では,輪重の動的減少とアタック角の増加に対応して車輪の浮き上がり量が増加した.一方,数値解析では,輪重の動的変動が車輪浮き上がり量に及ぼす影響は小さく,解析と実験とで相違が認められた. さらに,車輪軸のアタック角を考慮した三次元空間における車輪・レール接触パラメータを求め,急曲線やアクティブ制御による逆操舵によりアタック角が10mrad以上になると二次元の解析よりも脱線が早まる傾向にあることが示された. 今後は脱線のみに限定せず,転覆との複合に着目した検討も重要である.
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