研究概要 |
強非線形振動系の高精度近似解を求めるために,平均法の母解にヤコビの楕円関数を利用した楕円平均法の開発を行い,以下のような成果を得た. 1.Duffing系を基盤とする系に対する単項型楕円平均法の開発:不減衰Duffing方程式に強制力項,減衰項,変位の3次項以外の非線形項より構成される摂動項が付与された系を解析対象とする楕円平均法を開発した.漸硬型,漸軟型及び飛移り型Duffing系を基盤とする系に対して,単一項のヤコビの楕円関数を母解とする単項型楕円平均法(cn型,sn型,dn型平均法)を開発した.この単項型楕円平均法の知用により,Duffing系を基盤とする系の定常振動近似解を簡便かつ高精度に計算することが可能となった. 2.2次ばね系を基盤とする系に対する楕円型平均法の開発:2次ばね系を基盤する系に,摂動項が付与された系を解析対象とする楕円平均法を開発した.この方法は,母解としてsn関数の自乗関数を利用し,非対称性の非線形系の高精度近似解を計算することができる. 3.結合型楕円平均法の開発:楕円平均法のさらなる高性能化を目的として,結合型楕円平均法を開発した.この手法は2つの異種楕円関数を結合した関数を母解とするものであり,本研究ではcn関数とsn関数を結合した関数を母解とするsn+cn型平均法を開発した.結合型楕円平均法は,単純な単項型平均法よりも,より高精度な近似解を計算することが可能であり,さらに高調波振動や分数調波振動の近似解をも簡便かつ高精度に求めることができる. 4.安定判別法の確立:楕円平均法に対する最適な安定判別法を確立した. 5.楕円平均法の有効性の検証:種々の振動系に対する詳細な数値計算を実施して,シューティング法による数値解との比較をとおして,本研究で開発したすべての楕円型平均法の有効性を確認した.
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