研究概要 |
本研究の目的は,宇宙用遠隔操作を想定したマスタスレーブシステムにおいて,スレーブアームの柔軟性が操作性能を劣化させる問題に対して,作業効率の向上と操作負担の軽減を図ったオペレータへの操作支援のためのコントローラを提案し,試作実験システムにおいて検証実験を行うことにある.本研究は大きく以下の4点について実施された. (1)操作支援法の提案・・・操作性能の劣化原因であるスレーブアームの弾性振動を,知能化コントローラが支援として抑制するために,スレーブアームの振動情報のフィードバックを特徴とする操作支援型コントローラを提案した. (2)操作性と操作感に基づく定量的評価法の提案・・・人間機械協調系における支援効果を定量的に評価するための評価法を提案した.この評価法では,操作性と操作感の両面から人間機械協調系を定量的に評価し,両面において良好な特性を有するものを優れた操作性能としている. (3)1自由度マスタスレーブマニピュレータにおける支援法の評価・・・(1)の提案操作支援法を,1自由度マスタスレーブマニピュレータの試作実験システムに実装し,その有効性を検証した.ここでは,振動情報として,スレーブアーム根元に貼り付けた歪ゲージによる検出値を用い,提案法を(2)の定量的評価法を用いて評価し,その優れた操作性能を検証した. (4)多自由度マスタスレーブマニピュレータにおける支援法の評価・・・(1)の提案操作支援法を,4自由度マスタスレーブマニピュレータの試作実験システム機に実装し,その有効性を検証した.ここでは,振動情報としてアーム先端に取り付けられた加速度センサを用いることを新たに提案した.(3)と同様に,提案法を(2)の定量的評価方法を用いて評価し,その優れた操作性能を検証した.
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