研究概要 |
本研究で開発している人工の指じゃ遊星歯車機構を二重複合4リンク機構からなり,基本動作は一基のモータで駆動される.この人工指の特徴は把持物の形状に自動的になじんで,各関節の角度が決定されるところにある. (1)たった一基のモータで,把持物の形状に自動的になじむグリッピング動作が基本的に可能である. (2)この把持物は,基本的に圧覚センサー等からの力フィードバックを必要としない. (3)モータを指後方(手のひら部)に配置できる. (4)動作の再現性が確実に保障される. 本研究で提案する機構は,従来の方式の欠点を基本的に克服するものであり,多指を有する実用的でかつ巧緻的なハンドリングが可能なハンドの開発を容易にするものである.2002年度に,試作機の製作と平行して2本の指を用いたピンチング動作のシミュレーション解析をおこない,ピンチング物体の平面状での自在な移動と,ピンチング力の制御が可能である事を示した.2003年度においては,人間の指とほぼ同じサイズの実験機を二本設計・製作し,制御回路および制御プログラムを完成させ,形状が不明な対象物のグリッピング動作とピンチング動作の実験を成功させた.2004年度においては2本指でピンチングした対象物の巧緻的なマニピュレーションを実現させた.主な成果は以下の通りである. (1)ピンチングにおける2本指の協調制御則を確立し,対象物の安定したハンドリングを成功させた. (2)ピンチングした状態での対象物の平面での移動および回転を成功させた. 今後は現ハードウェアを発展させて回内・回外の自由度を有する指の開発を行い,3指をもつハンドの設計・製作を行って,対象物の空間上でのハンドリングを行っていく予定である.
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