研究概要 |
本研究の目的は、人の親指と人差し指によるつまみ姿勢において、人差し指の運動学のパラメータ[リンク長比、およびDIP(Distal Interphalangeal)関節角度とPIP(Proximal Interphalangeal)関節角度間の協調関係]が人差し指の指先操作性にどのように影響しているのかを調べることである。20人の被験者(22〜25才の健常な男性)の人差し指の屈曲・伸展運動の計測を、3次元運動計測法を用いて行った(平成15年度)。この計測データを基に,人の親指と人差し指によるつまみ姿勢における人差し指リンク機構の運動学モデルを作成した(平成15年度)。 1.平成15年度に構築した運動学モデルに対して,運動学解析のための既存の評価指標(可操作度)の値を求める計算機シミュレーションプログラムを構築した。 2.1.において構築したシミュレーションプログラムを用いて,いくつかのつまみ姿勢における人差し指のリンク機構のもつ評価指標の値と,指リンク機構のもつ各パラメータ(DIP関節角度とPIP関節角度間の協調関係および各リンク長)との関係を調べた。 3.2.の結果に基づいて,指リンク機構のもつ各パラメータ(DIP関節角度とPIP関節角度間の協調関係および各リンク長)のもつ運動学的な意味を考察した。 4.結論として、次のことがえられた。 [1]人差し指の屈曲・伸展運動中のDIP関節とPIP関節の協調関係は、S字曲線で表すことができた。[2]人差し指のPIP関節とDIP関節の協調関係とリンク長比は、伸展姿勢において、大きさが最も小さくなるような関節微小変位(関節角速度)によって、指先の微小変位(指先速度)の制御を実現していることがわかった。
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