研究概要 |
電力の規制緩和によるIPP(Independent Power Producer)の参入や,自然エネルギー等を用いた小規模分散電源の導入に伴って,従来の発電所から負荷側への電力潮流だけではなく,負荷側から上位系統への電力潮流が発生し,潮流の複雑化や送電システムの局所的な過負荷が生じる。このように過負荷になっても新たに送電線の建設をすることなく,既存の送電システムの潮流を制御して,安定・高信頼の電力供給システムを維持する方法が必要とされ,送電系統制御システムの一つであるUPFC(Unified Power Flow Controller)の研究が行われている。本研究では,小容量UPFCの実用化に向けての基礎研究として,特に定常状態においても電圧飽和をするような大胆に変換器の低容量化をした場合を前提に,本研究では以下の4項目を明らかにした。 1.小容量UPFCの出力電圧飽和時における高速潮流制御法を開発のために,まず,電力系統およびUPFCの数学的モデルを導出した。定常状態においてUPFCの電圧飽和が発生したときの受電端側に基づいた送電電力制御法を導出した。 2.送電線事故時における電力潮流安定化のために,事故時の系統およびUPFCの数学モデルを導出すると共に,系統安定化のための事故電流を低減するUPFCの現実的な制御法を開発し,シミュレーションでその安定性を確認した。 3.過負荷解消のためのループ潮流制御時におけるUPFCの変換器容量について,電圧容量と電流容量の理論値を導出した。UPFCの最適設置点としては、電流容量の最も低い場所が有効なことを明らかにした。 4.研究室において所有している三相200V,7kVA送電システム用の試作UPFCを用いて,過渡および定常状態の電圧飽和を考慮した提案する電力制御法を用いた実験特性を示し,安定な潮流制御特性が得られた。
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