研究概要 |
負荷変動の抑制,周波数・電圧の安定化等を目的とする系統制御用エネルギー貯蔵装置(SMES)の超伝導コイルに加わる変動磁界,変動電流を低減させるため,これに並列するシールドコイルと呼ばれる常伝導のコイルを持つシステムを用いることを検討した。 まず,新たに提案した環境への漏れ磁界の少ないトロイダル型のシールドコイルシステムの構成について,実用規模のシステムに必要な導体量,主コイルに加わるシールドコイルからの漏れ変動磁界や損失等の基礎的電磁的諸量の変化を調べ,要素コイル数を12個,主コイルのアスペクト比を0.75,シールドコイルに対して0.5程度にとれば最適となり,通常型コイルと同程度の超伝導体量,システム設置面積で納まることを示した。 次に常伝導であるシールドコイルの抵抗による電圧降下を補償する電源の構成方法についてブリッジを用いた回路を検討し,シミュレーション計算の結果,電圧降下補償が可能であることを示した。これを検証するため,ソレノイド型ではあるが,実用規模のシステムと同じインダクタンス比率で,シールドコイルの常伝導抵抗を変化させることの出来る模擬シールドコイルシステムを製作し,シールドの条件が満足されるかを実験的に検討した。試験の結果,ほとんどの入出力変動パターンにおいて,常伝導抵抗による電圧降下が補償され,シールド条件の満足,つまり超伝導主コイルの電流変動が抑制されることが確かめられた。 次にシールドコイルシステムにおける電磁力について,ここで検討の対象としている系統制御用SMESの規模ではコイルの受ける平均的な電磁力は十分小さく,有限要素法による応力分布の解析においても,主超伝導コイルに接近したシールドコイル中央部付近でやや応力が大きくなるが,コイル材料の応力限界より十分小さく,電磁力変形については問題がないことを確認した。
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