研究概要 |
昇圧器付PWMインバータによる埋込磁石形同期電動機駆動システムの高効率化を目的として,これまで電気自動重においてバッテリの寿命を延ばすために捨てられていた回生エネルギーを電気二重層コンデンサを用いて回収することについて検討した。 1.電気二重層コンデンサの充放電特性 電気二重層コンデンサをCR直列回路で模擬し,充放電特性について解析を行った。コンデンサの温度上昇を避けるため,常に効率95%以上で使用するという制限を設け,この場合の特性を検討した。当初,電気二重層コンデンサバンクの直並列切換を行う予定であったが,大電流で使用する場合,効率95%以上という制限の下では並列接続しか利用できないことがわかった。 2.実験システムのシミュレーション 昇圧器付PWMインバータと電気二重層コンデンサを組み合わせた提案システムについて,シミュレーションによる検討を行った。回生が一時的な場合には,回生エネルギーを電気二重層コンデンサの充電のみで処理できるため,バッテリまで回生させず次の力行に用いることでバッテリからの正味の放電電力を小さくできた。また,回生が連続的な場合には,電気二重層コンデンサを制限電圧まで充電したあと,バッテリを定電流で充電することで回生電力をバッテリへ回収できた。 3.実験結果 実験システムを製作し実験を行った。電動機は1.5kW,6極,1750rpmの埋込磁石形同期電動機で,回生エネルギー回収用の電気二重層コンデンサは6000F,2.3Vを50個直列にし,さらにこれを2並列に接続した203F(実測値),115Vを用いた。実験,シミュレーションとも平均電力500Wの断続回生,平均電力200Wおよび700Wの連続回生を行い,システムが適切に機能することを確認した。 4.まとめ 提案システムは回生エネルギーを効率よく回収でき,バッテリの寿命を延ばすのにも貢献できることが明らかになった。
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