研究概要 |
エネルギーの効率的利用の点から燃料電池電気自動車が研究され,使用拡大の試みが行われている。燃料電池には始動時の反応遅れ,内部分極による電圧降下,ブレーキの電気エネルギーを回生できないなどの点があり,これらの補完として電気二重層キャパシタが用いられているが,電気二重層キャパシタの特性決定方法に関する研究報告は少ない。 本研究は,燃料電池電気自動車への電気二重層キャパシタ適用を前提に,特に電気二重層キャパシタに着目してエネルギー補完能力および省エネルギーの観点から,その最適容量や内部特性,ハードウェアの方向等を明らかにすると同時に,シミュレーションによる幅広い条件での検討を可能にすることを目的に実施した。 平成15年度から16年度にかけて,出力40kW実験車両により路上走行およびシャシーダイナモメータ上の模擬走行を行い,電気二重層キャパシタによるエネルギー補完効果の確認と利用率向上の研究を行った。具体的には,鉛蓄電池を基本として燃料電池特性を模擬する回路を構成し,燃料電池の特性変化に合わせて電気二重層キャパシタの静電容量や内部抵抗値を変化させて特性および構成の適正化を行うものである。 燃料電池技術自体も未だ開発段階にあり,内部インピーダンスや反応遅れ時間にもある範囲があるため,これらを燃模擬料電池回路により変化させて走行実験を行い,これにより電気二重層キャパシタの直流電圧補償効果の具体的数値を得た。さらにブレーキ電力エネルギー回収の点については,一定の走行モードではあるが電力回生率として数値を確認した。 さらに,これらの実験と並行して駆動回路動作のコンピュータシミュレーションを行い,同一走行モードによる実験とシミュレーション両者の整合性から,シミュレーション単独による電気二重層キャパシタ特性のより幅広い検討を可能とした。
|