研究概要 |
対人地雷を探知するための有力な方法の一つとして,地中レーダが有力視されている.現在,地雷探査用地中レーダに要求されているのは,地表面からの応答に埋もれている地雷のからの応答を抽出する方法と,地雷と地雷以外の物体を高い精度で識別するための「識別能力」である.本研究は,地雷探査レーダ信号の解析アルゴリズムの開発を目的として行った.結果は以下のとおりである. 1.地雷の特徴抽出法の開発 Matching Pursuitによるノイズ除去と特徴抽出は,識別特徴に対して十分な性能があることが確認できた.また,波形の遅れ時間を用いた新たな特徴についても検討を行い,その有効性を確認した. 2.高精度識別アルゴリズムの開発と改良 識別アルゴリズムでは,統計的学習理論に基づくレーダ信号処理法を採用し,数値シミュレーションにより,その有効性の確認を行った.Hidden Markov Modelおよび仮説検定の手法について検討を行ったが,いずれも良好な結果が得られた. 3.レーダ応答の数値解析法の改良 シミュレーションのための数値解析法としてFDTD法を用いるが,多大な計算時間とメモリを必要とするため数値解析法の改良が必要となる.この数値計算アルゴリズムの改良を行った. 4.提案手法の有効性の検証 有効性の検証については,数値シミュレーションだけでなく,モデル実験による検証も不可欠であるため,モデル実験を開始した.その結果,GPRアンテナとして優れた性能を持つ超広帯域アンテナが作成できた.また,測定データ及び地表面形状の連続計測システムについても現在構築中である. 以上のように,まだ開発途上の部分もあるものの,今回開発した地雷探査レーダのための高精度識別アルゴリズムの有効性は数値シミュレーションにより確認され,本研究の目的はある程度達せられたといえる.
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