研究課題
基盤研究(C)
量子ドットの研究においては、量子ドットの縮小・高密度化の成長条件についてまとめ、その後、均一化に向けた量子ドットの成長条件を検討した。そして、量子ドットの成長レートを低下することにより、(631)ファセットの出現した縦、横方向共に揺らぎが16%程度と均一な量子ドットを得た。次に、InPキャップ層の平坦化を行い、成長レート、V/III比に関する検討から表面平坦性を改善し、RMS値で0.4nm程度のラフネスに抑えることが出来た。この構造に関する光学特性の評価から、量子ドットの均一化の効果が実証され、量子ドットからの半値幅が40meVに減少したことを確認した。InPキャップ層による多層構造の作製においては、多層化の際に、GaInAs層の導入により、量子ドットへの下地層からのInのマイグレーションを抑えることが可能であることを示し、3、5層の量子ドット構造の作製を行い、その光学特性を評価した。このとき、5層のドットでは、発光強度の増加と波長のブルーシフトが確認された。これは、下層のドットからの歪み緩和の効果によるものと推測される。全光スイッチの研究においては、MOVPE選択成長導波路の導波損失係数、及び非線形屈折率の測定を行った。ファブリ・ペローエタロン法を用いた導波損失の測定では、波長1485nmの光に対してアクティブ領域では90cm^<-1>以上であるのに対し、境界領域及びパッシブ領域では40cm^<-1>以下となり、50cm^<-1>以上の差が得られることを確認した。また、マッハ・ツェンダー干渉計及びファブリ・ペローエタロン法を用いた非線形屈折率の測定では、非線形屈折率が見積もることに成功した。マッハ・ツェンダー干渉計においては全光スイッチング動作を実現し、波長1620nmの信号光に対し屈折率の変化量は0.025%と見積もられた。ファブリ・ペローエタロン法による測定では、MOVPE選択成長導波路においても遜色のない値が得られており、選択成長を用いて素子の作製を行うことによる非線形屈折率の悪化は観測されなかった。
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