研究概要 |
本研究では垂直磁気記録技術のなかで重要な構成要素となる単磁極ライトヘッド(SPTヘッド)に焦点を絞って,数値解析シミュレーションを用いて1 tera bits per square inch(Terabits/in^2)およびそれ以上の面密度を実現する単磁極ヘッドの提案を試みた.すなわち,3次元有限要素法(FEM)による記録磁界解析,LLG(Laudau-Lifshitz-Gilbert)方程式を解くことによる記録ポール部分のマイクロ磁化解析,3次元有限要素解析によるヘッド磁界計算と媒体LLGマイクロマグネティクス計算による残留磁化の計算,および発生する熱による影響(温度上昇による磁気特性劣化,磁性体の膨張,など)を目標として研究を進めた.主要な成果は以下の通りである. 1.いろいろなSPTヘッドの構造に対しFEMにより記録磁界分布を求め,記録媒体のLLGマイクロマグネティクス計算により記録トラック幅,イレースバンド幅,信号対雑音比を求めた.さらには,トラックエッジから発生する雑音を低減するための方法を提案した. 2.ディスクリートトラック媒体(DTM)は垂直磁気記録において主要なエッジノイズを低減する上で効果があると思われる.ここでは,SPTヘッドとDTMを仮定して,高密度記録の可能性を検討した. 3.垂直磁気記録単磁極ヘッドおよび2層記録媒体を含む空間全体のLLG計算を行い,サイドシールド,トレーリングシールド,ポール長などの効果に関しLLG計算との比較を行った. 4.有限要素解析ソフトウェアを用いて記録素子の熱伝導解析を行い,コイルにより発生する熱により温度が上昇する様子をいろいろな条件に対して求めた.熱により材料が膨張・変形する現象のシミュレートまでには至らなかった.
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