研究概要 |
多次元ディジタルフィルタの周波数特性の可変機能について考察し,多次元可変ディジタルフィルタの最適設計法とその周波数可変性能について理論的に考察することを目的とし,以下の成果を得た. 1.これまでに知られている1次元の可変ディジタルフィルタ(周波数変換,実数・複素並列形全域通過構造,低次元分解構造)の設計法を整理・比較し,その多次元への拡張可能性を考察した. 2.上記の考察をもとに,円対称低域通過形の多次元可変ディジタルフィルタの設計手法を検討した.ここでは,多次元可変ディジタルフィルタとして,並列全域通過構造,伝達関数の周波数変換による構造,状態方程式上の周波数変換による構造によって,多次元可変ディジタルフィルタの可変特性を実現する手法を考案した. 3.上で得られた多次元可変ディジタルフィルタの周波数可変特性の能力を理論的および計算機実験によって評価した.このとき,とくに多次元フィルタにおいて問題となる安定性および安定化可能性・安定係数領域について詳細に検討した. 4.古いフィルム映像のディジタル修復の一つとして,位相限定相関による位置づれ補正アルゴリズムを開発し,位置づれ検出と補正能力を評価した.また,整数値の位置づれしか検出できない補正アルゴリズムを非整数値の位置づれ検出と補正に拡張し,補正精度を10倍に向上させた.
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