研究概要 |
本研究は,測温素子と温度情報読み出し回路を空間的に分離できる接触型温度センサとして直流磁界型高精度ワイヤレス微小温度センサの開発に関するものである. 以下に本研究で得られた知見を示す. ・直流磁界型高精度ワイヤレス微小温度センサの主要要素である,感温フェライト膜,磁気読み出し装置,磁気バイアス印加装置,ヨーク等の最適な形状および配置を申請設備備品であるガウスメータや小型環境試験器,磁界解析ソフトウェアを用いて,種々検討したところ,最適解ではないがおよその傾向をつかむことができた.また,信号処理部分にマイコンを用い外部磁界によるノイズの除去をリアルタイムに行える装置を試作した. ・測温素子である感温フェライト膜と磁気読みだし装置との非接触達成距離に関しては目標値である5mm近傍(S/N比を考慮すると現状は4mm程度)が達成できた.ただし,現時点ではまだ最適値の同定には至っていないため,引き続き実機でのデータ収集と理論解析が必要である. ・本センサによる計測温度分解能は約0。02℃程度であり,目標の0.001℃には至ることができなかった.ただし,上記の性能は,現在の赤外線センサの分解能と同等程度であり,今後,感温フェライト膜の温度依存性の向上と信号処理装置の性能向上により,目標分解能が達成できるよう引き続き装置の改良を行う予定である. ・感温フェライト膜の温度依存性の向上には,磁気バイアスによる制御も考えられるため,シミュレータを用いて調査した結果,ある程度は制御できるが,広範囲には利用できないことを確認した.そこで,感温フェライト膜の温度特性を物理的に制御する事の検討を開始した.現在は,応力を印加した場合の感温フェライト膜の磁気の温度特性への影響,ならびに理論解析を進めている. ・得られた研究成果は,随時国内外の学会をはじめ,取材や研究会を通じて発表を行った.
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