研究概要 |
本研究の目的は,測定対象の同一空間内における超音波及び電気特性の同時イメージングあるいはモニタリングシステムを確立することである。本研究期間において以下の内容を行った。 まず,圧電素子による電気及び超音波特性イメージングのための基礎実験とそのシステムの確立を試みた。センサ構成としては,測定対象の一面に配置する構成とし,5mm×10mmの圧電素子8個を1mm間隔で配置した。提案センサによる測定対象の電気及び超音波特性の同時測定から,測定対象の複数情報の検出を試みた。実際には,生体モデルで満たした容器上面内側に本提案センサを配置させ,電気特性としてのコンダクタンスと超音波特性としての伝搬時間を同時に測定することで,生体モデルの温度及びその成分の2種類の情報を検出した。結果として,提案センサにより測定対象の複数情報検出の可能性を得た。次に,上記センサ構成により,イメージングシステムの確立を試みた。結果として,電気・超音波同時測定を含めたセンシングシステムの測定精度が不十分でそれらの同時イメージングに至らなかった。よって,今後,測定精度及び測定システムを改善しなければならないと考える。次に,測定対象の周囲全体に圧電素子を配置した構成におけるイメージングの基礎実験として,0.1%濃度の食塩水で満たされた円筒容器内(直径180mm)の中心軸上に配置された一対の圧電素子(5mm×10mm)を用い,異種媒体として,0.1%食塩水に満たされた石膏をセンサ軸上に挿入し,コンダクタンスと伝搬時間の測定を行った。結果として,コンダクタンスと伝搬時間の測定から一軸上での異種媒体の位置と大きさを検出しえた。よって,提案センサによる複数情報検出の可能性を有していることが分かった。
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