研究課題/領域番号 |
15560363
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
計測工学
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研究機関 | 芝浦工業大学 |
研究代表者 |
野村 徹 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (50052858)
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研究分担者 |
齋藤 敦史 (斉藤 敦史) 芝浦工業大学, 工学部, 助教授 (30280994)
古川 昌司 九州工業大学, 情報工学部, 教授 (30199426)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
2004年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
2003年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | 弾性表面波センサ / 弾性表面波 / 反射型遅延線 / センサアレイ / 感応膜 / 無給電 / 層状構造 / 集積化センサ / 無給電センサ / SH-SAW / ワイヤレス |
研究概要 |
弾性表面波(SAW)を用いたセンサ(SAWセンサ)が、数多く実用化されている。SAWセンサには、弾性表面波の特徴を生かして、さまざまなタイプのセンサが考えられる。たとえば、SAWデバイスの構造は平面的で、高周波により小型化できるため、幾つかのセンサを同一の基板上に組み込んだ集積化したセンサ(センサアレイ)もそのひとつである。またSAWは、表面のわずかな変形により散乱や反射を生じ、特に直角なエッジでは非常に強く反射される。この特性を利用することにより、従来の遅延線とは異なる、反射型の遅延線ができる。この遅延線を利用すると、新たなセンサが可能となる。 本研究では、まず化学センサの識別能力向上に役立つ集積型センサへの感応膜の塗布方法について検討した。センサの感応膜としては、感度、応答そして再現性に優れていることが重要である。そこでセンサの感応膜として再現性が良く、しかも基板との密着も良いLB膜とSA膜と呼ばれる有機単分子膜を用いることを検討した。LB膜はLangumuir-Blodgett膜の略で、生体に含まれる脂質や界面活性剤等の親水性、疎水性の両親媒性物質からなり、均質で分子の配向性が良く、分子レベルの膜厚の制御が可能という特徴を持ち、特に再現性に優れた超薄膜である。また、SA膜はSelf-Assembly膜の略で水溶性高分子の静電引力を利用した製膜方法による超薄膜である。実験では、性質の異なるLB膜を交互に累積したヘテロ構造のLB膜とSA膜を感応膜として使用した水晶振動子とSAW遅延線を用いたセンサを作製し、その特性を調べた。その結果、ヘテロ膜の電気的特性により、応答は質量付加効果のみの場合と異なり、サンプルガスの誘電率や導電率等の電気的特性に依存することが分かった。また、SA膜は製作が簡単で、しかも、LB膜と同様にセンサの感応膜として利用できることを示した。 次に、反射型遅延線を用い多機能なセンサを開発した。特にエッジによる強い反射を利用し、一つの基板に長さの異なる遅延線を複数並べたマルチチャネルセンサを開発した。さらに、この強い反射を利用し、無給電で動作するパッシブセンサを実現し、ワイヤレスでひずみ、湿度、温度そして液体粘性などの測定を試みた。 またセンサに適した新しい弾性表面波用の基板の探索においては、粘性液体/LiNbO3/ガラス構造を伝播するSAWの伝播特性と電気機械結合係数について計算機シミュレーションを行った。計算においては、LiNbO3の成長層の膜厚を変えた場合と、液体の粘性や密度等を変えた場合の伝播特性を求め、液体用のセンサに適する構造を検討した。その結果、LiNbO3の膜厚は伝播速度に一様に影響するが、損失は液体の物性値と膜の厚さにより異なり、センサによる液体の識別に有効であることが分かった。
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