研究概要 |
本研究は高度安全化社会環境の構築を目指して,光ファイバセンサ(ファイバブラッググレーティング(FBG))を用いたヘルスモニタリングシステムを構築し,構造物及び危険区域などのひずみ測定への応用を目指した。FBGは光ファイバに紫外線で書き込んだ回折格子であり,長さ方向のひずみにより反射波長が変化するため,反射波長からひずみを測定することができる。 平成15年度は2本のFBGを用いた差動方式(差動形ストレインゲージ)による静的ひずみ測定とFBGの反射波長のシフトをセロダイン変調による不等光路型マッハツェンダー干渉計を用いた動的ひずみ測定について研究を行った。差動方式による静的ひずみ測定では光スペクトラムアナライザと外部共振器型半導体レーザを組み合わせた波長同期掃引による波長分解能1×10^<-12>m(ひずみに換算して1με以下)の計測システムを構築し,2本のFBGを交差させる角度により測定感度を選択できることを示した。また,セロダイン変調を用いた光ファイバの長さ方向の動的ひずみ測定システムは静的ひずみ計測システムを用いて測定したFBGの感度とほぼ一致し,波長分解能が1×10^<-12>m以下であることを実験で示した。 平成16年度は2本のFBGを用いた差動方式による動的ひずみ測定への応用,さらにFBGの反射波長のシフトを不等光路型マッハツェンダー干渉計と光カップラの結合を利用した動的ひずみ測定などの実時間計測について研究を行った。差動方式によるひずみ測定では広帯域光源と波長モニターを組み合わせたシステムを構築し,波長分解能1×10^<-12>m,測定時間間隔10msを実現し,空間(3軸)上の1軸方向に高い感度をもち,他軸のひずみ及び温度変動の影響を受けにくいことを示した。実時間の動的ひずみ測定ではDSPを用いたディジタル演算装置により,測定時間間隔0.1msの実時間システムを開発した。
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