研究概要 |
発電プラント,船舶,鉄鋼製造等の主要設備の心臓部に使用される大型鍛鋼品は,大型自由鍛造プレスを用い,最終機械加工寸法に所定の鍛造余肉を付加して成形される.鍛造成形時,鍛造品の寸法(軸の偏芯,曲がり,断面形状など)の確認方法は,接触式あるいは目視であり精度が悪く,このことが,鍛造余肉を減じ,機械加工寸法に近いNear-Net-Shape化を妨げる要因の一つとなる. 本研究の目的は,3次元画像計測技術を大型熱間鍛造に適用することにより,省資源・省エネおよび製造期間の大幅短縮が図れることである. 具体的な目標は,高温(1,000℃程度),大型(長さ10メートル程度,直径1-3メートル程度)加工物に対して,短時間で高精度(計測誤差数ミリ程度)の寸法計測を実現する. 三年間の研究で,主に下記のような成果が得られた. ●高温による空気揺らぎや輪郭ボケの3D形状計測精度に及ぼす影響を究明した(H15); ●上記影響を解消するために,マルチスペクトル画像解析に基づく計測手法を提案した(H15); ●サイズの大きい鍛造物の高速計測方法として,マルチカメラ計測手法を提案した(H15,16); ●計測精度に対する鍛造物の温度及び温度分布の影響を削減できる物体抽出アルゴリズム及び温度影響補正方法を提案した(H16,17); ●計測に対する鍛造物の角形状影響はほぼ究明した(H16). ●大型軸状加工物計測時の対応付け問題をほぼ解決した(H16); ●提案手法及びアルゴリズムの現場実験を行い,予想通りの結果が得られた(H15-17); ●実用化への計測手法と計測システムを構築し,4mm程度感度の計測を実現した(H16,17). 上記研究成果の一部は既に特許を申請し,現在研究成果をまとめた論文投稿と共に,計測システムの実装は進行中で,年度内の実用化を目指している. 追加説明:研究分担者である日本鋳鍛鋼(株)の上野正勝氏はH16年度を以って定年退職し,上野氏担当予定の研究内容は研究協力者である日本鋳鍛鋼(株)の桑木透氏及び押川巧氏により担当されて順調に完成した.
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