| 研究概要 |
飛行船は安全性が高く,空中静止が可能などのユニークな特徴をもつ.近年,その特徴を生かして,例えば飛行船を人口衛星の代わる通信の中継基地に利用するプロジェクトなどが進められており,それを実現させる技術として,飛行船を希望の位置にすばやく移動させ,静止させる制御技術が必要とされている.本研究の目的は,実用的な飛行船の自動航行制御システムを開発し,小型の無人飛行船を用いた実験により,その有効性を実証することである.
本研究では,飛行船に対して以下のような高度で実用的な制御仕様を満たす自律航行制御系の設計法を開発し,屋内飛行実験により有効性を実証した.
・実用性を考慮した飛行船の自律航行制御系の設計:飛行船特有の非線形性や非ホロノミック拘束の下,実用性を考慮した飛行船の新しい自動航行制御システムを開発した.実用上の問題点として,速度・角速度センサーのノイズによる制御性能の劣化や空力係数なども含めた制御対象のパラメータ誤差による制御系の不安定化などが指摘されている.本研究では,飛行船システムに対して,速度や角速度情報を用いない飛行船の指数安定化および,制御対象の不確かさに対してロバスト安定性を保証する制御系の簡単な設計法を与えた.
・飛行船の実験システムの製作と特性解析:無線小型飛行船による自律飛行制御系の実験システムを製作した.実験システムは,リアルタイム3次元動作解析装置を用いて飛行船の位置と姿勢を測定し,実時間でフィードバック制御できる.このシステムを用いて,飛行船のシステム同定実験を行い,動的特性を解析し,飛行船パラメータのデータを蓄積した.
・実験による有効性の実証:上記の無線小型飛行船実験システムを用いて,自律飛行実験を行った.数多くの実験を実施し,結果を検討した結果,提案法が有効性であるとの結論を得た.
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