研究概要 |
15年度 自動車の駆動制御は,発進時のトラクションコントロールと停止時のブレーキコントロールとに大別でき,そのいずれに関しても制御理論の応用研究の1つとして幾つかの研究報告がある。しかし,非線形項であるタイヤと路面との摩擦係数の変動を積極的に考慮に入れておらず,より性能の高い制御システムを構築し,車の安全性,燃費を高めるためには,非線形項であるタイヤと路面との摩擦を積極的に考慮したシステムの構築が必要不可欠である。初年度は電気自動車の駆動部分を中心に数式モデルを導出し,安定性の面から特に良好な結果が得られたスライディングモード制御理論を用いて駆動制御システム設計を行った。 16年度 平成16年度の研究では,以下の研究を行った。(1)自動車の駆動制御において重要な要素であるタイヤと路面のスリップ率を評価関数としたリアプノブ関数を用いて非線形制御系を構築した。(2)従来からしばしば用いられてきた外乱オブザーバに関しての考察を行い,任意の外乱に対して適用可能な外乱オブザーバを考案した。(3)これらを併合した制御系の安定化の条件を示した。(4)シミュレーションにより有効性を確認した。 17年度 平成17年度の研究では,平成16年度に行った自動車の駆動制御システムを一般化した2慣性系の安定化制御システムの理論を新たに構築し,シミュレーション及び2慣性系の実験によりその有効性を確認した。さらに電気学会の論文誌(産業応用部門誌D)に,この成果をまとめた。 18年度 平成18年度の研究では,今までに構築した制御システム及び2慣性系簡易実験による結果を実車両に適用,制御効果の確認を行った。その結果,無制御時と比べて制御時には車体速度と車輪速度の問には良好な関係を保ちうることを確認した。
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