研究概要 |
(1)2次元のネッワークの状態を複素数z=x+iyと表し,動的システムを (dz(t))/(dt)=f(z(t)) のように表すとき,このシステムに指定した複数の安定なリミットサイクルを設定するには関数f(z)をどのように選べばよいかと言う問題を考察してきた.1つの安定なリミットサイクルを設定する問題は容易であるが,複数個の設定問題は想像していた以上に複雑であり,具体的な成果としてはまとめることが出来なかった.しかしいくつかの重要な視点が明確になり,今後の研究に有用であると考えられる. (2)1つの安定なリミットサイクルを持つシステム(振動型ニューロン)を複数個結合して得られる振動型のニューラルネットワークを考える.すべてのリミットサイクルの周波数を等しく設定し,各リミットサイクルの位相を情報して連想記憶を実現できるという可能性が指摘されていた.我々はこれまで離散型ニューラルネットワークを用いた連想記憶の研究を行ってきたが,振動型ニューロンを用いた連想記憶もほぼ同じように実現できることが分かった.しかし,位相は連続値を持つので振動型ニューロンを用いた連想記憶は離散型に比べその記憶情報は格段に大きくとることができることが分かった. (3)異なった周波数を持つ多数の振動型のニューラルを結合して得られるネッワークの振る舞いについても研究を進めてきた.近い周波数を持つニューロンが互いに同期して,いくつかのグループに分割されることが分かっていたが,この詳細な挙動は解明されておらず,計算機シミュレーションから興味ある事実が示された.
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