研究概要 |
廃棄物処理量を増大させるセメントとしては,セメントの原料として利用する場合と混合セメントがある.最適なセメント材料を設計するには、その水和と組織形成を明らかにして行くことが必要である.本研究では,セメント原料として利用する場合に,想定されるアルミネート相あるいは間隙相の増大により廃棄物処理量の増大する場合に,性能を確保しつつ,廃棄物処理量を最大とするための材料設計手法を提案している.また,その際、注意すべき事項として,流動性と自己収縮について実験的に検討を行っている.さらに,アルミネート相を機能的に利用するための,エトリンガイトの高機能的な利用法や重金属固定についても明らかにしている.さらに,混合セメントとして利用した場合には,CO_2削減は,混和量に匹敵して可能であるが,各種の混和材の水和と組織形成における特徴を整理し,以下に示す材料設計に反映するための基礎的な知見を整理している.すなわち、高炉水砕スラグやフラアッシュがビーライトの反応を著しく遅延させること、エーライトは混合材の置換により初期水和が促進されるが,同程度の粉末度の混合材を用いた場合で,石灰石微粉末で最も顕著に現れることを明らかにしている.また、C_3Aの初期水和は,石灰石微粉末および高炉徐冷スラグを用いた場合で遅延され,特に徐冷スラグの場合で著しいことや高炉水砕スラグの反応は,28日までは急激に進行するがそれ以降はほとんど進行しないことや水砕スラグの粉末度を増加させることやセッコウを添加することで材齢3日から7日のスラグの反応率は増加することを指摘している.フライアッシュの反応は,材齢180日程度までにはガラス化率とガラス相の塩基度に影響されるが,材齢360日では,フライアッシュのガラス化率やガラス相の塩基度によらず反応率は同等の値を示すとしている.さらに,廃棄物処理量の増大が可能で,より性能を向上できる可能性のある新たな混合セメントを提言している.
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