研究概要 |
本研究課題では,自己充てん性ランク1の高流動コンクリートのポンプ圧送性能を確保するための改善方法を明確にすることである。 平成15年度は,脈動に耐えうる分離抵抗性を含む管内閉塞に対する安全性を総合的に事前評価できる試験方法を確立することを目的として,スランプを18cm程度の普通コンクリートおよびフライアッシュを30%細骨材代替したランク1の高流動コンクリートを用いて,順調圧送から閉塞までの圧送状況を再現できる水平換算距離59.5m程度の小規模な循環圧送試験を行った。平成16年度は,脈動による分離抵抗性を含んだ試験方法の確立を目的として,変形性試験に用いる小型ポンプ圧送試験装置に脈動発生装置を付加し,脈動を発生させたコンクリートの室内流動実験を行った。実験に供したコンクリートは,平成15年度で実施した現場圧送実験で製造したコンクリートと同材料,同配合の普通コンクリートおよびランク1の高流動コンクリートである。脈動を発生させた変形性試験のテーパ管吐出位置の管内圧力損失と著者らが行った実機ポンプによる現場圧送実験結果^<3)>の水平管の管内圧力損失の比に冠する相似性を検討した。 その結果,1)高粘性コンクリートの水平管1mあたりの圧力損失は,普通コンクリートの約2倍である。2)管壁を流動するコンクリートの骨材粒子と管壁が衝突する際に発生する振動にはコンクリートのコンシステンシーに起因する卓越周波数が存在し,卓越周波数が普通コンクリートと高粘性コンクリートで異なる。3)小型ポンプ圧送装置のピストンの可動と停止を制御することで,実際のポンプ圧送のような脈動波を再現させることができる。4)実際のポンプ圧送と本変形試験の管内圧力損失に関する相似性は,普通コンクリートに対しては問題がないが,粘性の高いコンクリートに対しては変形性試験の結果が危険側の評価を与える可能性がある。 以上の実験的検討から,変形性評価試験装置に脈動発生装置を組み合わせて,高流動コンクリートのポンプ圧送性能として特に重要な脈動に対する材料分離抵抗性を評価する試験方法として「フレッシュコンクリートの脈動を発生させた変形性評価試験方法(案)」を提案することができた。
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