研究概要 |
物理選別処理した焼却灰を天然骨材の代替材とし、コンクリート用細骨材への適用性に関して検討を行った結果、(1)焼却灰を海砂と代替したコンクリートの圧縮強度は、置換率の増加に伴い低下した。(2)焼却灰を海砂と代替したコンクリートの耐凍害性は、無混和のコンクリートと同等である。(3)焼却灰を代替すると、コンクリートの中性化が促進される。(4)焼却灰を海砂と代替したコンクリートの塩化物イオン量は、置換率の増加に伴い増加するが、水洗処理を施した焼却灰の置換率10%であれば、コンクリート中の塩化物イオン量の規定値を満足する。(5)焼却灰を海砂と代替したコンクリートからの鉛の溶出量は、すべての置換率において土壌環境基準を満足した。 新たな技術開発として、焼却灰を用いた制御型低強度材料に関して、配合条件は水結合材比70%、空気量30%で一定とし検討を行った。結合材はセメントの容積に対してフライアッシュを50,70,90%の割合で置換した。細骨材は焼却灰の容積に対して海砂置換率0,50,100%の割合で置換した。その結果、(1)圧縮強度はすべての供試体において、材齢とともに強度が増加し、材齢28日の目標最大圧縮強度は8.3N/mm^2以下を満足した。(2)モルタル中の塩化物イオン含有量は、焼却灰に水洗処理を施すことにより、コンクリート標準示方書に記載されている規定値(0.3kg/m^3)を満足した。(3)供試体から溶出する重金属類8項目(Cd, Cr(VI), T-Hg, Pb, As, Se, B, F)について、硬化したコンクリートからの微量成分溶出試験方法試案に準じて行った結果、すべてにおいて土壌環境基準を満足した。 以上のことから、焼却灰はコンクリート用骨材として利用可能であることが分かった。
|