研究概要 |
本研究では,大谷石を用いた一軸圧縮クリープ試験および一軸圧縮繰り返し載荷試験を行い,軸ひずみおよび変形,破壊時におけるAEおよび電位差の計測を行った.AEの計測においては,載荷中の供試体内部における微小亀裂の発生時期を知ることができた.また,亀裂の発生と電位差の発生の関連性について明確になった点がある. 1.AEの発生状況より,供試体内部に微小亀裂が発生したと推測できる時点においては,電位差の顕著な変動が見られる 2.含水比が増加するに従い、発生する最大電位差変動が増加する傾向が見られ、このことから、圧電効果以外の電位発生要因が存在することが推測される。 3.繰り返し載荷試験においては,載荷時の変形速度が上昇傾向に転じる時点から,発生電位差は増加に転じる傾向が見られる 4.電位差の発生傾向としては,1サイクル目から徐々に減少していき,ある点から増加に転じた後破壊に至っている. 斜面模型実験においては以下のことが明らかになった。 1.地盤内の含水比が高いほど電位は大きく観測される。 2.地盤に雨が降った場合、地盤内の水の浸透によって、電位が発生する。これは界面動電現象によるものである可能性が高い。 3.電極2点間の位置変動による電位発生は、すべり面をはさんで2点間にずれが生じれば確実に予測できる。しかし潜在すべり面の予測は難しく、崩壊規模は予測できない。 4.地下水上昇を電位測定で判断することが出来る。地下水上昇による斜面崩壊の予知につながる。 これらの結果より、AE計測に変わりうる岩石の破壊予測手法の一つとして、電位差計測手法が有効であることが明らかになった。
|