研究概要 |
本研究は,年々増加する一般廃棄物の中でも「家庭ごみ」に着目し,ごみの削減方法の検討とごみの排出場所である「ごみ集積所」の改善に関する調査研究を行ったものである。本研究により得られた主な結論は以下の通りである。 (1)「ごみ問題に対する意識」は,「商品購入行動」「リサイクル意識」「ごみの分別行動」に影響し,最終的には「ごみの減量対策」へと影響を与えていることが明らかとなった。またこの構造は,個人属性により大きな違いがあることも明かとなった。特にごみ問題に積極的な層としては,「60才以上」「主婦」「人口密度の低い地区」が挙げられ,逆に消極的な層としては,「男性」「若年層」「集合住宅」が挙げられた。このことからもごみ問題に対する関心は,地域のコミュニティとの繋がりの強弱が大きく影響していることが明かとなった。 (2)ごみ減量対策としては,個人の負担(有料化や分別の細分化)を避け,法的規制や補助金助成といった他力本願的な傾向が認められた。このことからもごみ問題に対する意識と行動は必ずしも一致しないことが考えられる。 (3)ごみ問題に対する意識の違いは,ごみの排出行動にも表れ,特に抗そう住宅や学生などの若者が多く居住しているアパート付近のごみ集積所の管理状態に問題があることが明らかとなった。特に指定されたごみの分別の不徹底により,集配されないごみが集積所周辺の環境や美化に大きく影響を与えている。このことからも集合住宅などでは,専用のごみ集積所を設置し,かつ,住民に対する教育指導が不可欠である。 以上の結果から,家庭ごみ問題は,単なる家庭だけの問題ではなく,環境全般に関わりを持っているため,家庭ごみの問題などの身の回りの環境問題と地域環境問題との関係,地域環境問題と地球環境問題との関係を教育指導することが不可欠である。その上で,必要な制度の改正や法律の制定などの導入が必要である。
|