研究課題/領域番号 |
15560556
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
建築史・意匠
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
吉田 鋼市 横浜国立大学, 大学院・工学研究院, 教授 (60111704)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
2005年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2004年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2003年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 建築史・意匠 / 近代建築 / アール・デコ / ラテンアメリカ |
研究概要 |
平成15〜17年度の3カ年で、メキシコシティ、サンティアゴ、サンパウロ、リオ・デ・ジャネイロ、ブエノスアイレスの5都市を調査してまわった。また世界最初の"Art Deco Society"を1976年に結成したアール・デコ都市マイアミビーチを調査した。その調査を通じて得られた主だった知見は以下の通りである。 1.ラテンアメリカ諸国におけるアール・デコの波及は、独立100周年を契機とするモダニティとナショナリティの追求を背景としている。鉄筋コンクリート造というアール・デコのモダニティと、マヤ、アステカの造形を採り入れたアール・デコの装飾性は、この両者の要求を満たすものとして受け入れられた。ナショナリティの表現方法には二つの種類が認められる。一つはマヤやアステカなどアメリカ原住文化の造形を積極的に組み込もうとするものであり、もう一つはこの地がヨーロッパ化された最初のスタイルであるラテンバロックを援用しようとするものである。メキシコシティは前者の傾向が強く、サンティアゴは後者の傾向が強い。そしてリオ・デ・ジャネイロにはその双方の傾向が見られる。 2.ラテンアメリカ諸国におけるアール・デコの波及は1930年代以降とやや遅く、また1940年代以降もそれが続いている。その理由の一つはこの地へのアール・デコの波及が相当部分米国を経由して行われたものによるものであろう。またサンパウロ、ブエノスアイレスにはアール・デコがほとんど見られない。それはこの両都市の主たる建設活動が1920-30年代の以前もしくは以後に行われているからであろう。 3.マイアミビーチの建設活動は、1933年から1941年にかけてピークを迎えたが、この時期はリゾート地の大衆化が伴った時期であり、享楽性を失わない範囲での施設のモダン化・簡素化が目指された。こうして稀に見るアール・デコ都市ができあがったが、マイアミビーチにおけるアール・デコ保護活動はアール・デコ再評価とも連動しており、非常に興味深い。
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