研究概要 |
B2型およびホイスラー(L21)型金属間化合物Co_<1-c>Fe_c,CoFe_<1-x>Al_xの磁性と点欠陥の相関性を中心に研究した。 まずCo_<1-c>Fe_c(0.4【less than or equal】c【less than or equal】0.6)では,平均磁気モーメント<μ>は、いずれの組成に対してもB2相領域で急冷温度増加に伴う磁気モーメントの減少が見られ、A2相領域でほぼ一定に達した。磁性と点欠陥の相関を、原子配列の規則性を表す長範囲規則度Sを通して調べた結果、<μ>は長範囲規則度の自乗S^2に比例する事が分かった。規則度Sは試料に内在する点欠陥(不正Co,Fe原子)の濃度を表しており、Sの低下は不正原子の増加を意味する。即ち、急冷温度が下降するに伴って、Sが増加、つまり規則化が進行し磁気モーメントが増加すると言え、点欠陥の挙動が磁性を直接的に制御している事を本研究によって明らかに示す事が出来た。 次にCoFe_<1-x>Al_x(0【less than or equal】x【less than or equal】1)では,B2相は全組成域で広く存在する事、ホイスラー相は0.4【less than or equal】x【less than or equal】0.6の組成域でおよそ700℃以下で安定に形成される事が分かった。B2相域での磁性挙動については、磁気モーメント<μ>が組成xの増加と共に直線的な減少を示す事、および急冷温度の増加に伴い減少する(x<0.4)または一定となる(x【greater than or equal】0.4)事が分かった。一方ホイスラー相では、<μ>はいずれの組成でも顕著な急冷温度依存性はなくB2相とほぼ同じ値となった。B2相域での磁気モーメントの急冷温度依存性は上記Co_<1-c>Fe_c合金における磁性挙動と良く似ており、x<0.4での<μ>の減少は昇温に伴いCoサイトとFe(Al)サイト間での原子配列の不規則化が起るためと理解される。更に、ホイスラー相での実測は、FeサイトとAlサイト間での不規則化が磁性に影響を与えない事を示唆している。
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