研究概要 |
Ti基準結晶(Ti-Zr/Hf-Ni)系準結晶は,従来,液体急冷法により作製されてきたが,本研究ではメカニカルアロイング(MA)法により作製を試みた.種々の組成の元素粉末のMAでは直接,準結晶相は得られず,すべてアモルファス相が得られた.しかし,その後適当な熱処理により正二十面体の準結晶相が得られることが分かった.この場合,第二相としてTi2Ni型結晶相も析出(熱処理温度を低下させるとこの結晶相の量は減少できる)し,さらにTi-richな粉末ではcにTi相も析出した. これらの粉末の573K,3.8MPaの圧力容器を用いた高温高圧水素ガスチャージでは,Ti-Hf系準結晶粉末の水素吸裁量は54at.%程度であったが,Ti-Zr-Ni系粉末では,粉末組成によらず約63at.%程度であった.Tiの含有量を多くすると水素放出温度が高温化し,準格子からの水素の放出は,水素原子と金属原子との化学的な親和力だけでなく水素原子が固溶している格子間すき間の体積も影響していることが示唆される. Ti_<45>Zr_<38>Ni_<17>準結晶粉末の50サイクルまでの水素サイクル特性(水素吸蔵量および水素吸蔵・放出速度の変化)も温度573K,初期水素圧1.0MPaで調べた.1サイクル目では吸蔵時間48hにおいても最大水素吸蔵量には達しなかったが,2サイクル目以降では吸蔵速度が40倍以上となり1〜1. 5hで最大水素吸蔵量(H/M=1.5)に速することが分かった.水素放出時間はサイクル間に顕著な差は無かった.
|