研究分担者 |
大塚 秀幸 物質・材料研究機構, 強磁場研究センター, 主幹研究官(研究職) (10343857)
森井 浩一 大同特殊鋼(株), 技術開発研究所, 主任研究員
戸高 義一 豊橋技術科学大学, 工作センター, 助手 (50345956)
梅本 実 豊橋技術科学大学, 工学部, 教授 (90111921)
|
研究概要 |
強磁性形状記憶合金のマルテンサイト相(以下M相)では磁場による双晶変形(バリアント再配列)が起こり数%もの磁場誘起歪みが発生する(双晶磁歪)。この機構による発生応力を高くするにはマルテンサイト相の磁化及び結晶磁気異方性が高く,かつ双晶変形応力が低い必要がある。さらに動作温度域を広くするにはマルテンサイト変態温度が高いことが必要である。本研究ではNi-Mn-Ga合金について希土類元素の添加が相変態温度、飽和磁化、機械的性質に与える影響について調べた。Ni-Mn-Ga合金にSm,Nd,Tb,Gdを添加した合金をアーク溶解で作製し,均質化処理後水焼入れした。各インゴットについてDSC測定による変態温度の測定,VSMによる磁化測定,SEM・TEMによる組織観察,圧縮試験を行った。さらに、ローレンツ法を用いた磁区構造の観察を行った。 M変態温度はNi-Mn-Ga3元系合金と同様の価電子濃度依存性を示したが、Gd添加合金ではM変態温度、キュリー温度共に低下する傾向を示した。飽和磁化は特に高価電子濃度領域において3元系合金よりも高くなる傾向を示した。 希土類元素添加によりNi-Mn-Ga合金多結晶の機械的性質が改善することが明らかになった。SEM・TEMによる組織観察、元素分析の結果より,希土類添加合金では,析出物が凝固方向に平行に,結晶粒界・亜粒界にそって析出していた。この析出物はいずれも希土類元素を15〜20at%程度含む化合物であると考えられる。 また磁区構造観察の結果、正方晶マルテンサイト相双晶内には180度磁壁のみが存在すること、双晶境界はマルテンサイト相の高い磁気異方性を反映して磁壁と同様のコントラストを示すことが明らかになった。得られたローレンツ像と電子線回折法により、M相組織における磁化の分布を明らかしすることができた。
|