研究概要 |
鉄スクラップから銅を濃縮するための基礎として,Fe-Cu-P3元系の状態図は重要である。本研究では1373Kでリン濃度が4〜14%のFe-Cu-P合金の平衡実験を行ない,Fe-Cu-P3元系の状態図の決定を試みた。その結果,次のことが明らかになった。1)リン濃度が4〜14%のCu-rich側の液相はFe_2Pと平衡する。2)1373Kにおいて,L2+L1の2液相分離範囲の低リン濃度側にはL2+L1+α-Feの3相が,高リン濃度側にはL2+L1+Fe_3Pの3相が存在する。3)CuとFeの質量比を1:1とした場合,本実験濃度範囲において,リン濃度の増加に伴い相平衡はL2+L1+αFe→L2+L1→L2+L1+Fe_3P→L2+Fe_3P→L2+Fe_2P+Fe_3P→L2+Fe_2Pと変化する。 スクラップには貴金属が含まれることがある。貴金属が銅と鉄にどのように分配されるか調べる目的で,溶鉄相と溶銅間の金,銀ロジウム,パラジウム,白金の分配比を測定した。その結果,1)金と銀は著しく多く溶銅相に分配し,パラジウムは溶鉄相の10倍溶銅相に分配する。2)白金は溶鉄相と溶銅相にほぼ均等に分配し,ロジウムは溶鉄相に多く分配する。ことが明らかになった。したがって,このスクラップ処理方法を実施した場合,銅に濃縮した金,銀,パラジウムは銅製錬工程で回収される。しかしながら,鉄-リン合金に濃縮された白金とロジウムの回収方法が問題になる。
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