研究概要 |
高温水中でOHラジカルの反応動力学を調べるには,OHラジカルの吸光度変化を追跡するのが一番直接的である。これまで,室温の水中でOHラジカルの測定を試みた例はあるが,高温水中での測定例はなかった。OHラジカルの直接観測で困難となるのは,高圧セルに用いているサファイア窓による吸収である。この窓による吸収を的確に補正することにより,高温水中でのOHラジカルの吸収スペクトルを測定した。高温水中でのOHラジカルの吸収スペクトルは,室温でのそれに比べて,若干短波長側へシフトした。吸収の裾は,300nmから観測された。また,250nmにおける分子吸光係数は,温度の増加につれ減少した。室温での分子吸光係数は約500であるが,200℃以上で急激に減少し,350℃では,約200であった。 OHラジカル同士の反応速度の温度依存性について検討した。125℃までは,ほぼアレニウス型温度依存性を示すが,125℃以上では,反応速度定数は温度に依存しなかった。125℃における速度定数は1x10^<10>M^<-1>s^<-1>であった。
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