研究概要 |
種々のバイオマス炭化物の二酸化炭素によるガス化速度は一次反応で整理できることがわかった。また,見かけの反応速度定数と炭化物の比表面積との環系について検討した結果,比表面積と反応速度との間には,明確な関係は見出せなかった。また,灰分量の関係について検討すると,速度定数と灰分量との間には,灰分量が多いと速度定数が大きくなる傾向にあるが,灰分量の多いビール粕の速度定数は小さかった。灰分中に含まれる金属種と速度定数との関係について検討した結果,アルカリ金属,アルカリ土類金属が多く含まれるほど,速度定数が大きいことが明らかとなった。 活性炭を製造する際にもこのガス化(賦活)過程が重要となる。そこで,ガス化速度と得られた比表面積との関係について検討したところ二酸化炭素との反応性が高いと得られる活性炭の比表面積は同じ賦活度であっても小さくなることが明らかとなった。このことより、塩酸を用いた脱灰処理を行った後に賦活操作を行うことにより、比表面積が大きく増加することが明らかとなった。また,アルカリ金属を含む炭化物の調湿能(水蒸気の吸脱着性能)は,含まないものと比較して優れていることが明らかとなった。 次に,バイオマス中の灰分をガス化触媒として利用することについて検討した。カリウムを多く含むおからに含まれる灰分をヤシガラ炭化物に機械的に混合して二酸化炭素によるガス化速度を測定した結果,灰分を混合しない場合と比較して反応速度が非常に大きくなった。また,繰り返して灰分を用いてもガス化速度は大きくは減少しないことが明らかとなったことから,バイオマスの灰分をガス化触媒として利用できることがわかった。
|