研究課題/領域番号 |
15560676
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
生物機能・バイオプロセス
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
黒田 章夫 広島大学, 大学院・先端物質科学研究科, 助教授 (50205241)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
2004年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2003年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
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キーワード | ポリリン酸 / グルコキナーゼ / ATP / 進化 / 生命エネルギー / 構造解析 / 結晶 / リン酸化 / 基質特異性 / タンパク質工学 |
研究概要 |
ポリリン酸は最も単純な高エネルギーリン酸結合の塊である。ポリリン酸は原始生命が生まれたと考えられている火山の熱水に含まれる。一部の研究者はポリリン酸が原始生命のエネルギー物質ではなかったかと推察している。我々はMicrolunatus phosphovorusという特殊な細菌からポリリン酸のみをリン酸化の基質とするポリリン酸グルコキナーゼを発見した。通常生物はATPをリン酸供与体としてグルコースのリン酸を行う。M.phosphovorusではポリリン酸をリン酸供与体とする。このポリリン酸依存性グルコキナーゼの一次構造を決定し、ATPグルコキナーゼと比べてみると、活性中心付近に位置すると考えられる領域はよく保存されていた。しかし、ATPグルコキナーゼのIIBという領域は、ATPグルコキナーゼだけに存在した。真核生物も含め、多くの生物でみられるATPグルコキナーゼは、このIIB領域を獲得して、ポリリン酸依存性グルコキナーゼから進化したのではないかと考えられた。本研究ではポリリン酸グルコキナーゼの構造を決定し、ATPグルコキナーゼと比較することによって、ポリリン酸からATPへと生命エネルギーがどのようにして変化したかを酵素の構造から議論したいと考えた。そこで大腸菌における発現系を構築し、大量精製を行った。精製したグルコキナーゼを濃縮し、結晶化条件を検討した。その結果、約2年の歳月をかけてようやくポリリン酸グルコキナーゼの結晶化に成功した。その結晶を用いて約2Åの解像度でX線回折像が得られた。その構造の完全解明には至っていないものの、構造を予測することができた。今後、この酵素の構造からポリリン酸利用の分子メカニズムを明らかにするとともに、原始生命エネルギー発生の不思議に迫りたいと考えている。
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