研究概要 |
γ-アミノ酪酸(GABA)は神経伝達物質として知られ,アルツハイマーの予防,ダイエット効果,ストレス軽減,精神安定などの効能があり,健康食品に広く利用されている。このGABAを補酵素や他の基質を添加せず,溶存酸素を用いてコハク酸セミアルデヒド,アンモニア,過酸化水素を生成するGABAオキシダーゼを,Acinetobacter calcoaceticus EN-B-628とPenicillium sp.KAIT-M-117から,世界で初めて見出すことに成功した。EN-B-628株のGABAオキシダーゼ産生能は不安定:で酵素の抽出が困難であったが,KAIT-M-117株のGABAオキシダーゼ産生能は安定しており,酵素の抽出も容易であった。 このKAIT-M-117株由来のGABAオキシダーゼを,硫安塩析とOctyl-Sepharose,DEAE-Sepharose,ヒドロキシアパタイトにより比活性11.2U/A_<280>,総活性0.448Uまで精製できた。精製酵素は,Native-PAGEとSDS-PAGEにより,ほぼ単一タンパク質にまで精製できた。精製酵素の基質特異性は高く,GABAに対してのみの酸化反応を触媒し,グリシン,β-アラニン,5-アミノ吉草酸,6-アミノカプロン酸,グルタミン酸には全く反応性を示さなかった。また,本酵素は,pH7〜9,40℃(15分処理)以下で安定,またpH8(0.1Mリン酸塩緩衝液),40℃で最も高い反応性を示した。 本酵素のKm値は,pH7で3.10×10^<-2>M,pH8で1.26×10^<-2>M,pH9で3.14×10^<-3>Mとなり,pHにより大きく変化した。pH9でのGABAに対する検量線は,1〜3mMで直線性を示した。本酵素を用いてヨーグルト中のGABAを測定することができた。
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