研究課題/領域番号 |
15560713
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
核融合学
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
奥野 健二 静岡大学, 理学部, 教授 (80293596)
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研究分担者 |
吉岡 濶江 静岡大学, 理学部, 助教授 (80021955)
今井 剛 日本原子力研究所, 核融合工学部, 次長 (80354637)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2004年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
2003年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 核融合炉 / RF加熱装置窓材 / CVDダイヤモンド / トリチウム / 高エネルギー化学 / X線光電子分光法 |
研究概要 |
ダイヤモンドは核融合炉において加熱装置と真空容器の結合部の窓材としての使用が期待されているため、ダイヤモンドとプラズマから漏洩する高エネルギー粒子(重水素、トリチウム、ヘリウム)との化学的相互作用に関する成果は核融合炉開発にとって有益な知見となる。そこで、本研究では、CVDダイヤモンドに高エネルギー粒子(重水素およびヘリウム)照射、60Coγ線照射、および中性子照射を行ない、各照射により引き起こされるその化学構造変化および注入された重水素の存在状態についてX線光電子分光法(XPS)を用いて研究を行なった。 D_2^+およびHe^+を照射したダイヤモンドに対するXPS測定の結果、ダイヤモンドのC1sピークトップはD_2^+およびHe^+照射ともに低エネルギー側へシフトし、ダイヤモンド構造が乱れることを示した。ピークシフトの大きさはD_2^+およびHe^+の照射量とともに増加するが、D_2^+照射ではフルエンスが1×10^<21> D^+ m^<-2>、He^+照射においては1.8×10^<22> He^+m^<-2>あたりでピークシフトはほぼ一定になることが明らかとなった。これは構造が乱される効果とそのアニーリング効果が平衡に達したためと考えられる。すなわち、これはD_2^+照射によって構造が乱されてピークトップが低エネルギー側にシフトする効果と、化学結合を形成することで高エネルギー側にシフトする効果によって、He^+照射の時より早く平衡に近づいたものと考えられる。この化学結合はC-D結合である可能性が高い。γ線照射の影響においては、低線量率照射においてはダイヤモンド構造に構造変化が認められたものの、工線量率照射においては構造変化が認められなかった。これは照射によるアニーリングの可能性を示唆する実験結果であった。中性子照射においては大きな構造変化は認められなかった。 以上の成果は、核融合炉のプラズマ加熱装置の実現において重要な課題と考えられているダイヤモンド窓の特性評価の観点から有益な成果を含んでいる。
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