研究概要 |
集合住宅の電力需要は,過渡変化の時定数が時間オーダーの長周期で大きな日変動成分に,時定数が秒〜分オーダーの短周期の比較的小さい瞬時変動成分が重畳したものとなっている.本研究では,固体酸化物形燃料電池を用いた集合住宅用の小型分散電源システムの柔軟な電力負荷追従運転を実現するために,日変動成分に対しては燃料電池の部分負荷運転で,また瞬時変動成分に対してはインバータの構成と制御法の工夫により対応することを考え,検討を行ってきた.このうち,日変動成分への対策については,固体酸化物形燃料電池は熱ストレスに対して脆弱で運転中はできるだけセル内の温度分布を一定に保つ必要があるが,その空気利用率を負荷に合わせて最適に制御するような部分負荷運転を行えば負荷が変化してもセル内の温度分布が定常的にも過渡的にもほとんど変化しないことを数値シミュレーションにより示し,平板型固体酸化物燃料電池は可変負荷運転可能であることを明らかにすることができた.一方,瞬時負荷変動に対しては燃料電池の制御だけで追従することはできないので,燃料電池と負荷の間に入るインバータ部に蓄電装置である電気二重層コンデンサを設置することにより対応することを提案し,電気二重層コンデンサを備えたインバータの模擬実験装置を用いた実験とそれに対応する数値シミュレーションの両面から,インバータの電力負荷追従運転法の検討を行った.その結果,電気二重層コンデンサを備えたインバータは,十分高速に負荷の瞬時変動に追従し,負荷の瞬時変動成分を吸収するのに十分な性能を有していることを明らかにすることができた.
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