研究概要 |
近年,エネルギー消費量の削減や環境負荷の低減を目指し,各種分散型エネルギーシステムが積極的に導入されるようになってきた.一般的に民生部門では産業部門と比較してエネルギー需要量の季節的・時間的変化が激しいため,積極的に省エネルギー化を推進するには運用マネジメントが極めて重要な課題となる. 本研究では,省エネルギー化を積極的に追求するための最適運用マネジメントシステムとして,エネルギー需要量の予測,エネルギーシステムの最適運用計画,ならびにエネルギーシステムの最適制御の統合化手法を構築するとともに,それを実在エネルギーシステムに適用することによって手法の実用化のためのプロトタイプを構築することを目的とした.主要な研究成果は以下の通りである. 1.エネルギー需要量の予測に関しては,時系列解析およびニューラルネットワークに基づく予測手法を構築し,予測値と計測値の誤差に加えて予測値の時間変化を最小化することによって運用計画に適した予測を行えるようにしたり,気温などのエネルギー需要量に影響を及ぼす因子の予測と組合せることによって精度の向上を図るなど,各種の工夫を行った. 2.モードトリミング法と名付けた大域的準最適解の導出を可能とする非線形計画法に基づき最適運用計画手法を構築するとともに,それとモデル予測制御に基づく最適制御手法を階層的に結合し,動特性シミュレーションにおける制御量目標値および操作量最適値を合理的に決定できるようにした. 3.エネルギーシステムの動特性シミュレーションのための汎用システムを構築するとともに,実在エネルギーシステムとしてある空調熱源システムを取り上げ,その動特性シミュレーションモデルを作成し,階層的に結合した最適運用計画手法と最適制御手法を適用して,確定条件下における動特性シミュレーションを実施し,その結果の妥当性を確認した.
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