研究概要 |
研究では、基本となる共存モデルとして、以下の3つのモデルを構築した。 (1)巻貝の巻き方の左右性の進化モデル 右巻きと左巻きの貝の進化を検証するために、今回、individual-based model(IBM)法を利用した巻貝の右巻きと左巻きの間の進化シミュレーションを構築した。シミュレーションは、優性右巻き、または、劣性左巻きのホモ遺伝子の個体群に、同じ巻型をしたヘテロ遺伝子型の突然変異個体を導入し、突然変異の遺伝子が集団において固定するか、その頻度を測る。その結果は、巻型の変わる進化が起こり得る事を示した。そして、個体群における突然変異個体の割合や、条件によって変化する。突然変異個体の割合が低い時、右巻きから左巻きに固定する率は、その逆よりも高くなる。しかし、突然変異個体の割合が高い時、その反対の結果を示す。私たちの結果は、左巻きの種が少ない事を、巻型の固定の頻度で、説明できるものではない。しかし、突然変異による別の巻型への固定は非常に低い頻度で起こり、各パラメータは、巻貝の鏡像進化において重要な役割を果たす事が分かった。さらに,系統解析により,このような巻き方による種分化を検証した。 (2)格子生態系による草原モデル 格子生態系における2種の空間競争モデルを構築した。ここで草原の競争を想定して、競争により1種が他種を駆逐・置換していく過程を組み入れた。置換確率を変異させて共存可能な領域があることを確認した。現在パラメータによる感度分析などをした。 (3)プランクトンの多種共存モデル 10種のプランクトンの空間競争モデルを構築した。この場合、10種は成長率の微妙な違いがあるが、栄養条件により、それが変化するように仮定した。ここで、生態学的時間として1万から数万世代の時間をとり、その間の共存種が栄養条件でどのように変化するか検証した。 以上,種分化において,近縁種がどのように共存可能か,または共存可能に進化するかを検証した。
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