研究課題
基盤研究(C)
シロイヌナズナ花茎の重力屈性変異体として得た変異体のうちzig-1は形態にも異常を示す。この原因遺伝子が、液胞への小胞輸送を担うSNAREであった事に端を発し、小胞輸送系が支える液胞形成や機能が、どのように重力屈性や形態形成に関与しているのかを、より具体的に理解することを目的として、次の2点について解析を行った。1.重力感受の平衡石として働くアミロプラストの動態と液胞との関係を理解するために、生きた花茎の内皮細胞を用いて詳細な観察を行った。野生型内皮細胞の液胞膜は激しい動態を示し、原形質糸の形成・消失が頻繁に起こっていた。アミロプラストはその周囲を液胞膜で取り囲まれており、原形質糸を通って細胞内を移動していた。このようなアミロプラストの動態は液胞膜の動的性質に強く依存することが、変異体の解析から明らかになった。これらの結果は、重力感受における液胞の関わり方についての認識を一新させるものであった。2.zig-1の表現型を抑圧するサプレッサー変異体(zip ; zig suppressor)を単離し解析を行った。zip1はzig-1の重力屈性及び形態における異常をほぼ完全に回復させる優性変異で、細胞レベルでも花茎内皮細胞の液胞構造の異常を抑圧していた。zip1変異はVTI12の1アミノ酸置換変異であった。ZIG/VTI11とVTI12はアミノ酸配列で約60%の相同性を示すが、これまでの生化学的・遺伝学的解析により、両者は一部機能重複を示すが、異なる細胞内局在及び生理学的機能を持つことが判っている。zip1変異のzig-1抑圧のメカニズムについて解析を行い、zip1変異がVTI12のSNARE複合体形成における特異性と細胞内局在を変化させたことにより、VTI12がVTI11の機能を代替できるようになった為であると結論した。
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