研究課題
基盤研究(C)
オルガネラ間のタンパク質輸送は輸送小胞を介して行われる。繋留、結合、融合という複数の段階を経て、輸送小胞はしかるべき膜に運ばれる。小胞が適切なところに輸送されることは、オルガネラ構造の構築とその維持、そして生合成されたタンパク質の輸送において非常に重要である。繋留は融合より前に、小胞がその標的膜と最初に接触する段階である。最近、この段階に関与する多くの因子が同定されている。繋留に働く因子の候補と目されるタンパク質は大きく分けて、2つに分類される。1つは長いコイルドコイル構造をもつタンパク質群、もう1つが多量体タンパク質複合体である。ゴルジ体層板間膜輸送では、前者がp115/GM130/giantin(golgins)複合体、後者がCOG複合体である。p115は他の2つのgolgins、小胞上のgiantinおよびゴルジ膜上のGM130と相互作用することでCOPI小胞をゴルジ膜に繋留する。COG複合体は8つのサブユニット(COG1-8)からなる。COG1あるいはCOG2変異体を発現する細胞はでは異常な糖鎖付加反応が見られる。これら2組の複合体が繋留因子の候補として同列に考えられており、これらが別個に働くのか、協調して働くのか未だ不明である。本研究で私は2組の複合体が相互作用することを示すことができた。酵母ツーハイブリドスクリーニングでp115結合タンパク質としてCOG2が得られた。p115とCOG2の相互作用はin vitroでもin vivoでも観察された。p115をノックダウンした細胞にCOG2結合ドメイン欠失型p115を発現させると核近傍に管状や小胞状の構造が集合した異常な構造のゴルジ体が形成された。これらの結果からp115とCOG2複合体の相互作用は正常なゴルジ体のリボン状構造の構築に必要であることが示唆された。
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Journal of Biochemistry (Tokyo) 135
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