研究概要 |
ソバの受粉後14日の未熟種子cDNAライブラリーより種子形成過程初期に発現が増加した遺伝子EL0847をディファレンシャルスクリーニング法を用いてクローニングした。EL0847遺伝子から予想されるアミノ酸配列は,グルタミン酸・アラニン・バリンの繰り返し配列を含み,細胞構造を維持する役割を果たしていると考えられる。また天然ゴムの主要なアレルゲンとして単離されたHev b5と相同性を示した.ELO847遺伝子を大腸菌のタンパク質発現系を用い発現させたタンパク質とそばアレルギー患者の血清との反応を検討した.しかしながら患者血清中のIgE抗体と有意な反応は見られなかった. ソバ種子の有用成分であるルチンをケルセチンとルチノースに分解するフラボノール3グルコシデース活性を示す酵素,ルチネースのN末端アミノ酸配列からプライマーを作製し,3'RACE-PCRを行った。得られたルチネース遺伝子の予想されるアミノ酸配列はβ-glucosidaseと相同性を示した.ルチネース遺伝子の一部を大腸菌のタンパク質発現系を用い発現させ,このタンパク質に対する抗体を作製した.この抗体を用いてダッタンソバの種子より抽出したタンパク質とウェスタンブロッティングを行った結果,2本のバンドが検出された.この結果とダッタンソバゲノムのサザン解析からルチネース遺伝子は遺伝子族を形成していることが判明した.ルチネース遺伝子を大腸菌と分裂酵母S.pombeのタンパク質発現系を用いて発現させ,この発現タンパク質のフラボノール3グルコシデース活性を測定したが活性はほとんど見られなかった
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