研究概要 |
本研究は,マメ科作物間で不定根形成能力の大小を比較するとともに,耐湿性との関連,さらには生理機能との関係を明らかにすることを目的としている. まず,実験系の確立を目的として,Rumex属植物において低酸素環境下での不定根形成能カの大小(発根数と伸長)を検定するるために用いられている実験方法を応用し、マメ科作物間の比較にも適用できるかどうかを確認した.ダイズおよびインゲンマメ幼植物を供試し,ワグネルポット(1/50OOa)を用い,新規に導入した高照度インキュベーター(グロースチャンバー)中において養液栽培(脱気および非脱気ホーグランド液)を行った.不定根の発生数を経時的に調査するとともに,最終的には地上・部重,地下部重および不定根長を調査した.その結果,本実験法が不定根形成能の検定法として有効であることが確認され,不定根の形成は脱気条件によってダイズでは促進されたのに対して,インゲンマメには促進効果が認められないことが明らかになるとともに,脱気条件下における不定根形成能の大小は耐湿性程度の大小と関連のあることが示唆された.さらに,圃場条件下における耐湿性と根系形成の関係を解析するため,ダイズおよびインゲンマメを供試して,無灌漑,間断灌漑および湛水条件下で栽培試験を行った.その結果,養液栽培においては脱気条件下でも生育を継続したインゲンマメは,圃場条件下では湛水,間断灌漑いずれにおいても生育を全うできなかった.一方,ダイズは湛水および間断灌漑下においても生育を継続し,間断灌漑区では無灌漑区の約2倍の不定根を発達させるとともに,無灌漑区に匹敵する収量が得られた.
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