研究課題/領域番号 |
15580049
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
植物栄養学・土壌学
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
実岡 寛文 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 助教授 (70162518)
|
研究期間 (年度) |
2003 – 2004
|
研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
|
配分額 *注記 |
3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
2004年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2003年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
|
キーワード | ダイズ / フィチン / リン酸 / 環境汚染 / 家畜飼料 / 非反芻家畜 / 有効態リン酸 / フィチン酸 / 環境 |
研究概要 |
家畜の飼料原料である穀類の全リン酸の80%近くがフィチンの化合物である。このフィチンは鶏、豚などの非反芻家畜では消化吸収されない。そのためフィチンは糞として排泄されている。フィチンは土壌微生物のフィターゼにより容易に無機リンに分解される。無機リン酸は、耕地へのリン酸蓄積の原因、さらには降雨よる表面流水によって河川や海洋に流れ、環境負荷の一因となっている。また、家畜に吸収できないリン酸を補うために、リン酸カルシウムなどの無機リン酸を添加した飼料を家畜に給与している。しかし、リン資源は、従来と同様に使用した場合には、今後50年で枯渇することが知られている。そこで、環境へのリン負荷およびリン資源の問題を解決する方法として、穀類のフィチンを低減し、家畜が吸収しやすい無機リンの多い穀類を飼料用原料とすることも一方法である。そこで、本研究では、ダイズについて、フィチンの低い品種の開発が可能かどうか検討した。 日本および米国で栽培されているダイズ70品種とエチルメタンスルホネート(EMS)で作成した突然変異体の種子のリン酸、フィチンなどを測定した。栽培70品種のフィチン濃度は乾物あたり14.7〜25.6mg/gで品種間差はあったが、突然変異体のフィチン濃度は9.8mg/gで、著しく低かった。70品種の全Pに占めるフィチン態P濃度の割合は、55〜90%であったが、突然変異体は28%であった。突然変異体は、フィチン態P濃度が著しく減少したのに対して、無機態P濃度が著しく増加した。突然変異体と70品種の間に、子実のCa、Mg、K、Fe、Zn、N、およびタンパク質濃度に差はなく、フィチンの蓄積とミネラル成分の蓄積には、関連性は見られなかった。さらに、フィチンの低下は、タンパク質などのダイズ子実の品質にも影響を与えなかった。突然変異体を利用することによって、フィチンが低く、家畜が吸収しやすいPを高濃度に蓄積したダイズ品種の育成が可能になった。
|